ガンジーの実像 (文庫クセジュ)
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ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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人気ランキング: | 22046 位
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ガンジーの実像に迫る
著者は「はじめに」ではっきり書いている。「ガンジーは賞賛していればいいエキゾチックな聖人ではなく、行動の人、改革者、あるいは革命家、いずれにせよ思想家である。」と。「この視点から彼の生涯と事蹟を検討していく」ことが本書の目的である。
大きく2つの部に分かれている。第一部はガンジーの生涯であり、第二部はガンジーの思想である。第一部は彼の歩んだ軌跡を時系列に紹介し、第二部でその軌跡から見て取れる包括的な思想を、宗教、非暴力と政治、経済と社会、カーストと不可蝕民に分類して整理している。神格化されている彼の偶像からは見えない部分が淡々と明らかにされる。
自分にとって一番注目した部分は家族との関係であった。「妻との関係においては、彼は権威主義的傾向があり、妻にほとんど決定権を与えなかった。」とある。「自分の考えに同意しないのなら、妻は自分のもとを去ればいいと彼は何度も言った。妻に読み書きを教える必要を認めなかった。妻との性関係を断とうと決心したとき、妻の意見を求めなかった。」
また、子供が幸せな生涯を送っていないことも注目に値する。「長男ハリラルが、公共の場で酔っぱらい、売春宿に通い、借金した。ガンジーは、彼を助けられなかった。」「次男のマニラルがイスラム教徒と結婚しようとした。ガンジーは・・・この結婚に猛反対した。(中略)もしもマニラルが従わなければ、『インディアン・オピニオン』紙の社長の地位を失うことになると脅かした。青年は折れ、父の協力者の二十歳の娘と結婚した。」「不幸せで、アル中で、借金を抱えた息子ハリラルは、ボンベイのイスラム寺院にてイスラム教徒に改宗した。」など。
著者は、「ガンジーが現実に及ぼした影響は、その威光よりもはるかに小さかった。」という。しかしながら一方で、「彼の考えは、世界中で数えきれない人びとにインスピレーションを与えている。」ともいう。どちらもその通りなのだろう。
偉大な精神(マハートマー)の称号は、「人間」ガンジーに付けられたものであることを、しっかりと認識させてくれる意味において、本書は名著だと思う。
20世紀における偉人の一人
ガンジーは、時としてイギリス政府と交渉する政治家であり、時には不買運動や国産品愛用運動を主導する運動家でもある。さらには、時にヒンズー教徒の解釈を変化させて活動したという理由から宗教改革者であるという位置づけもなされ、解釈によっては革命家であり、聖人である。つまり、歴史上重要な役割を演じたことにより、様々な人々に注目を浴びている証いえよう。筆者によると確かにインドではガンジーの威信は大きく、インド人の大半は国家の父とみなしている。しかし、実際インドの政治、経済、外交の進む方向はガンジーが望むような方向には進んでいないと筆者は言う。インドとパキスタンの統一がなされなかったのはまさしくその一つといえよう。本書の前半部はガンジーの一生について書かれている。幼児期からイギリス留学、南アフリカ、インドの帰省、ガンジーの暗殺といった流れである。後半部はガンジーの思想に焦点を当て、宗教の影響、政治、経済における彼の立場等が書かれている。 この本を読んでガンジーはインドの民族主義者にとどまらないと感じた。全インド人に向けて専門用語を用いずわかりやすく説いたとされる。しかし、彼の思想の中に普遍性が内在していることから、インド人のみならず私たちも学ぶ意義が大きいといえよう。この本を読んでさらにガンジーについて知りたくなった。
白水社
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